2025.09.26 - Fri
Column
集患・マーケティングコラム
マーケ担当者も押さえておきたい!Google広告【P-MAX】の運用ポイント

Google広告のP-MAX(Performance Max)は、AI による自動最適化で短期間で高い成果が期待できる一方、「何を分析すれば良いか分からない」「改善方法が見えない」「本当に実CVに寄与しているのだろうか?」という悩みを抱える広告運用者、クリニックマーケティング担当者も多いのではないでしょうか。
本記事では、最早クリニックの集患マーケティングでも必要不可欠なチャネルとなったGoogle広告におけるP-MAXのそもそもの解説、P-MAXで確認できる分析項目とそれぞれの具体的な改善方法について解説します。限られたデータでも効果的な運用改善を実現し、キャンペーン成果の最大化を目指しましょう。
(本記事は2025年9月時点の情報です)
P-MAXとは?

P-MAX(Performance Max)は、Googleが提供する自動最適化型の広告キャンペーンです。Google広告のすべての配信面に1つのキャンペーンで配信できる革新的な広告メニューで、検索結果・YouTube・ディスプレイ・Gmail・Discoverなど、すべての広告枠に自動で最適な広告を配信します。
P-MAXの仕組み
P-MAXはGoogle AIによる機械学習を活用し、設定した目標に基づいて自動的に入札調整や配信最適化を行います。
簡単に言うと
①広告主が準備した素材 → 見出し、説明文、画像、動画などのアセット(材料)を準備
②AIが自動的に組み合わせ → ユーザーに合わせて最適な広告を自動作成
③さまざまな場所に配信 → 検索(Yahoo!含む)面、YouTube、Gmailなど効果的な場所を自動選択
機械学習によって人間の手作業では困難な調整がなされることで、少ない運用負荷で高いパフォーマンスが期待できるのが特徴です。
P-MAXのメリット

1. 運用工数の大幅削減
複数の配信面を一つのキャンペーンで管理できるため、設定や管理の手間が大幅に削減されます。従来は検索広告、ディスプレイ広告、YouTube広告をそれぞれ別々に管理する必要がありましたが、P-MAXなら1つのキャンペーンで完結します。
2. AIによる高精度な最適化
Google AIによる自動最適化により、人間では処理しきれない膨大なデータを活用した精密な配信が可能です。リアルタイムでユーザーの行動を分析し、最適なタイミングで最適な広告を表示します。
3. 幅広いリーチの獲得
全配信面での露出により、認知度向上とコンバージョン獲得の両方を同時に狙える特徴があります。これまで届けられなかった潜在顧客にもアプローチできる可能性が高まります。
4. 学習期間の短縮
検索テーマを設定すると、GoogleのAIに「このような検索をするユーザーに配信したい」と伝えられます。これにより、学習スピードが向上し、適切なターゲットに素早く到達できるため、無駄な配信を減らすことができます。
P-MAXのデメリット
1. コントロールの制限
従来の検索広告やディスプレイ広告と比較して、分析できるデータが限定的で、手動での細かい調整ができません。特定のキーワードを狙い撃ちしたり、配信時間を細かく調整したりすることは困難です。
2. 分析の難しさ
どの配信面でどのような成果が出ているかの詳細把握が困難で、改善施策を立てにくいという課題があります。従来の広告運用で慣れ親しんだ詳細データを確認できないため、最初は戸惑うかもしれません。
3. 学習データの必要性
P-MAXは機械学習によって自動最適化されるため、十分なデータが必要です。月30件を下回る場合は成果が出せない可能性が高くなると考えられますので、コンバージョン数が少ない商材には不向きです。
4. アセット準備の負担
検索広告のテキストやディスプレイ広告のバナーはもちろん、動画広告用の動画も準備しなければいけません。多様な素材を用意する必要があるため、初期準備に時間がかかります。
P-MAXの運用を円滑にするためのコツ

学習期間を十分に確保する
最低でも6週間以上の運用期間を確保し、頻繁な設定変更は機械学習の妨げとなるため控えることが重要です。成果が出ないからといって、短期間で判断を下すのは避けましょう。
豊富で質の高いアセットを用意する
効果的なP-MAX運用には、以下のアセットをバランス良く準備することが推奨されています:
- テキストアセット:広告見出し15個、説明文5個
- 画像アセット:横向き3個、正方形3個、縦向き1個
- 動画アセット:最低1個(自社制作推奨)
オーディエンスシグナルを適切に設定する
顧客となる可能性の高いユーザーを判断するためのデータとして、以下を設定します。
1.既存顧客のリスト
2.コンバージョンユーザーのデータ
3.商品・サービスに関心の高いオーディエンス
検索テーマを戦略的に活用する
検索テーマを適切に設定することで、より関連性の高いトラフィックを獲得できる可能性が高められるため、商品・サービスに関連するキーワードを25個まで設定しましょう。
P-MAXにおける分析項目の見方

1. 検索カテゴリ
確認できる内容:検索カテゴリは検索語句をGoogleAIがカテゴリ別にグループ化した情報です。
ユーザーの検索意図のほか、商品とサービスの属性に基づいて自動的に分類されています。
確認方法
キャンペーン選択 → 「分析情報とレポート」→「分析情報」→「検索語句に関するインサイト」を選択
ここで直近成果の上がっている検索カテゴリを調べることができます。検索ボリュームもここで確認することができます。
<改善のポイント>
◆成果の良いカテゴリを検索テーマに追加
◆関連性の低いカテゴリは除外キーワードで対応
2. 検索語句
確認できる内容:カテゴリーではなく、あくまで検索語句ごとの詳細なパフォーマンスデータを確認することができます。
確認方法
キャンペーン選択 → 「分析情報とレポート」→「検索語句」を選択
ここで表示回数や、クリック率(CTR)、コンバージョンなどの様々な指標で各検索語句のパフォーマンスを確認することができます。
<改善のポイント>
◆表示回数や、クリック率(CTR)、コンバージョンなどの様々な指標で成果の良い検索語句を検索テーマに追加
◆関連性の低い検索語句は除外設定で対応
配信意図に反する検索語句は除外しましょう。
※全く違うエリアにある他院の屋号などが含まれていたら除外することを推奨します。
3. アセットグループのパフォーマンス
確認できる内容:各テキスト・画像・動画など各アセットの評価(最良/良/低など)と成果データ
確認方法
キャンペーン選択 → 「アセットグループ」をクリック→各アセットグループの画面右側に配置されている「詳細を表示」をクリック→各アセットの詳細を確認
<改善のポイント>
◆「低」評価のアセットは差し替えや見せ方の修正を検討する
◆「最良」評価のアセットの特徴を分析する
◆日々の評価に捉われず定期的にアセットの見直しと追加を行い、P-MAXにおける機械学習の精度を高める。
◆競合と差別化できる要素を強調したテキストを入れてCTR、コンバージョンの増加を図る。
◆高解像度のバナー画像を複数サイズ(正方形、横長、縦長)準備して、これのパフォーマンスも日々注視する。
4. 地域レポート
確認できる内容:配信地域ごとのパフォーマンス
確認方法
「分析情報とレポート」→「広告が表示された日時と場所」をクリック→「一致した地域」のタブをクリック
改善のポイント
◆CPAが高い地域は除外を検討
◆成果の良い地域と類似した特性を持つエリアへの拡大
5. オークション分析
確認できる内容:検索における他社との競合状況を比較することでリーチを拡大できる機会を探ることが出来ます
確認方法
「分析情報とレポート」→「オークション分析」をクリック
改善のポイント
◆競合の影響度(インプレッションシェア)を把握
◆競合優位点を含む訴求をアセットに追加
P-MAXだけだと表示されないケースもあるのでその時は検索キャンペーンも含めた形で確認するようにしましょう。
6. 曜日・時間帯
確認できる内容:配信された曜日・時間帯別のパフォーマンス
確認方法
「分析情報とレポート」→「広告が表示された日時と場所」を選択→「広告が表示された日時」をクリック
<改善のポイント>
◆基本的にはGoogle AIが成果に応じて自動調整を行っているので任せる
◆広告予算が限られている時や想定よりオーバーしそうな時は、明らかにコンバージョンやインプレッションの少ない曜日・時間帯の配信除外などの調整を行う。
7. オーディエンスセグメント
確認できる内容:どのようなユーザー属性や興味関心を持つユーザーに広告が配信されているかの分析
確認方法
「分析情報とレポート」→「分析情報」を選択
<改善のポイント>
◆インデックスの高いオーディエンスの特徴を把握
◆アセットの改善や入札強化キーワードの見直しに活用
8.プレースメント
確認できる内容:プレースメントのレポートではどのWebサイトに自社の広告が表示されているかの確認ができます。
確認方法
「分析情報とレポート」→「レポートエディタ」を選択→「P-MAXキャンペーンのプレースメント」をクリック
<改善のポイント>
◆ブランド保護
◆低パフォーマンスの配信先の除外
◆相性の良いサイト、ターゲット層の把握
プレースメントレポートは、第一にブランド保護の観点にも活用することを推奨します。
クリニックのイメージを損なうおそれのあるWebサイトへの掲載が確認された場合は、
速やかにプレースメント除外の設定を行いましょう。
また、パフォーマンス面でも成果が見込めない配信先があれば、除外設定を行うことで全体のパフォーマンスの最適化に繋がります。
まとめ
P-MAXは自動化が中心の広告キャンペーンですが、「設定して待つだけ」では最大限の成果は期待できません。適切なアセットの準備、オーディエンスシグナルの設定、そして限られたデータを活用した継続的な分析・改善が成功の鍵となります。
特に重要なのは
◆学習期間を十分に確保する(最低6週間)
◆質の高いアセットを豊富に用意する
◆定期的な分析と改善を継続する
◆既存キャンペーンとの併用で相乗効果を狙う
クリニックでリスティング広告を出稿しているのであればP-MAXは必ず押さえておきたいチャネルです。P-MAXの自動最適化の力を最大限に引き出すためには、運用する人間側での戦略的な設定と継続的な改善が不可欠です。きちんと理解して成果に繋げましょう。